第9章 料理人
自分より年下の裏梅を気にかける あすか 。
「はい。何も必要ありません」
初めて逢った時から ぶっきらぼうな話し方と、表情を変えない裏梅は何を考えているのか推測しにくい。
あすか もそれ以上聞かず、宿儺の屋敷に戻った。
宿「必要なものがあれば言うと良い。
空いている部屋があるから好きに使うと良い」
「ありがとうございます」
そう言うと、裏梅は一番手前の小さな部屋を見て、
「このお部屋をいただいても よろしいですか?」
と聞いた。
『そんな小さな部屋で良いの?
奥にもっと広い部屋があるよ?』
「この広さがちょうど良いです」
宿「お前が良いなら かまわんぞ」
宿儺からも承諾され、裏梅は その小さな部屋を間借りすることにした。
屋敷に着いてから、裏梅は一通りの食材を確認し夕食を準備した。
「どうぞ」
差し出されたお膳は2つだった。
『裏梅くんの分は?』
「??」
あすか の質問の意味が分からないのか、裏梅は眉間に皺を寄せ小首を傾げた。
「私は雇われの身。宿儺さま と あすか さま と同じ食事をいただくわけにはいきません」
宿儺は そう言う裏梅を横目に見て、裏梅に聞いた。
宿「お前、御婆の所に来るまでは何処に居たのだ?」
「薬舗の大地主の所で薬を学ばせてもらっていました。
そこに御婆が来て、今回の話をしてくれました」
薬舗の大地主、と聞いた宿儺はあぐらをかいた足に片肘をつき、