第8章 契り
ケヒヒヒ、と笑う老婆はまるで ひ孫の誕生を楽しみにしているようだ。
「あすか の眠気はコレが原因だろうな。いいか宿儺、あすか に重たい物を持たせるな。激しい運動も駄目だ。走らせるな。食事は栄養のある物を食べさせろ。
あとは、御婆の所に定期的に腹の子の様子を診せに来い」
老婆の言葉に、宿儺は「わかった」と言った。
「あすか さん、おめでとう!
絶対可愛い子が生まれるね!
楽しみだなぁ♪」
自分の事のように喜んでくれる少女に、あすか は照れながら『ありがとう』と笑った。
宿「御婆、誰か腕の良い料理人を知らぬか」
「料理人?」
宿「あすか はしばらく仕事を休ませる。
俺が仕事に行っている間に無理をされては困る。信頼できる者を家に入れて、あすか の世話をさせたい」
『そんな、私の世話人なんて要らないよ』
あすか は宿儺にそう言うが、老婆に「良いではないか、喜んで甘えれば良い」と言われ、あすか は『でも…』と困っていた。
「良いじゃない、あすか さん。
宿儺さまは腹の子と あすか さんの事を考えて言っているのだから、御婆さまの言うように甘えれば良いのよ♪」
少女までも そう言うため、あすか は『わかった』としぶしぶ納得した。
「料理人については少し時間をくれ。
御婆が必ず信頼できる者を見つけよう」