第8章 契り
宿「良いのか……?
答えを急ぐ事は無いのだ。
俺の周りには殺意を持っている呪術師や呪霊が うろついている。
夫婦(めおと)になると あすか が狙われる可能性も出てくるのだ。
それでも良いと言うのか?」
あすか と視線を合わせるように座り直した宿儺は そう言った。
『蒼が姫さまに取り憑いていた時、宿儺さまの事を聞かれました。
私は何一つ答えられませんでした。それがもどかしかった。
それに、呪霊付きの女の子の頭を撫でる宿儺さまを見た時、"私にだけしてくれているワケでは無いのだ" と思ったら胸が苦しくなりました。
…私は宿儺さまが好きです。
命を狙われようと、宿儺さまの傍に居たい』
あすか の気持ちを聞いた宿儺は、あすか の腕を引き寄せ力強く抱き締めた。
宿「あすか …、絶対に護る…。
怖い思いをたくさんさせてしまうかも知れぬ。
…だが傍に居てくれ。必ず護るから」
あすか の肩に顔をうずめながら、抱き締め続けた。
自分よりも大きい宿儺の背中に両手を回し、あすか も ぎゅっ と宿儺を抱き締めた。
『宿儺さまの足手まといにならないよう努力します』
そして、少し残っていた お酒を お猪口(ちょこ)に注ぎ、2人だけの夫婦の契(ちぎ)りを交わした。
【 健やかな時も 貧しい時も
ともに添い遂げ
ともに分かち合おう
どちらか傷付いた時 傷を癒そう
例え死が2人を別つとて
2人 同じ運命(さだめ)に身を任そう 】