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過去⏩️今 ~記憶の物語~[呪術廻戦]

第7章 過去


御三家。
呪術界の中では名の知れた名門だ。
そのため、家系以外の人間も呪術を習いに居候する事があった。

特に加茂家は呪力の高い者を寄せ集め、優れた者は血筋で無くても養子縁組をして勢力を伸ばそうとしていた。

そんな時、宿儺は生まれてすぐ加茂家に売られた。
治安は荒れ、人身売買が日常茶飯事だった頃。
赤子が売られる事も珍しい事ではなかった。

自分の本当の親の顔も知らぬまま、宿儺は加茂家で育てられた。

当時の当主、加茂憲倫は、ただの気まぐれで宿儺を買い、手伝いとして家に置くつもりだった。
しかし、成長するにつれ呪力が強くなる宿儺に興味を持ち始めた。

「宿儺、お前は強くなれる。
強くなって加茂家を最強にするんだ。
そのための知識、作法、全て教えてやろう」

もともと厳しい家柄だった加茂家で育てられた宿儺は笑う事も無く、表情を変える事も無かった。

加茂憲倫の言葉に、宿儺は黙って頷いた。

ただただ言われる通りに作法を覚え、知識を身につけた。
呪術や体術は体で覚えるしかなく、小さな宿儺は常に体に傷が絶えなかった。

「憲倫さま、小さな子どもにそこまでする必要がありますか?」

加茂家の専従医術師として雇われていた当時の老婆が、加茂憲倫にそう言った。

「幼子でも関係ない。
強くなれる素質があるのだ。
知識、技術。私の知っている全てを教えてやっているのに、なぜそのような言い方をする?」

無表情のまま老婆を睨む加茂憲倫。
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