第7章 過去
「…………………」
ひそひそ と話し声がする。
女も男も関係なく、当人の居ない所で何か言っている…。
言いたい事があるなら直接言えば良いのに…。
大人は嫌いだ……。
☆ ☆ ☆
『宿儺さま??』
夕飯を食べ終わり、縁側で酒を呑んでいた宿儺は いつの間にか うたた寝をしていたようだ。
宿儺は心配そうに自分を見る あすか を見て、ボーッとした頭を動かした。
『大丈夫??』
あすか は そう言い、
『眉間に皺寄せて眠ってたけど…』
と言って、宿儺の眉間に指を当てた。
きっと あすか 以外の者が同じような事をしたら、宿儺は その手を叩き落としていただろう。
だが、眉間の皺を伸ばすように ぷにぷに と自分の顔に触れている あすか の手を、宿儺は叩き落とす事はしなかった。
宿「……少し…昔の事を思い出しただけだ……」
マッサージする指を止め、あすか は『そっか』と言った。
あすか は、老婆との訓練の時から宿儺の過去を知りたがっていた。
だが、宿儺自身から無理矢理 話を聞き出す事もなく、宿儺が居ない時に老婆から宿儺の過去を聞く事もしなかった。
宿儺は少し黙っていた後、あすか に声をかけた。
宿「…寝る前に昔話でも聞くか?」
そう聞くと、『うん!』と あすか は嬉しそうに頷いた。
縁側で横になっていた体をお越し、あぐらをかくと宿儺は少しずつ自身の話を 話し始めた。
宿「御婆は俺が子どもの頃、唯一信頼できる大人だったんだ…」