第6章 呪霊憑き
屈託の無い笑顔で そう話す あすか に、宿儺は顔を染めながら「もう良い、黙って飯を食え」と あすか に言った。
そんな2人の様子を見ていた老婆は、ただただ眼を丸くした。
そして、急に笑い出した。
『お、御婆さま…?』
急に笑い出した老婆を心配する あすか と、「とうとう耄碌(もうろく)したか」と冷ややかな眼を向ける宿儺。
「ケヒヒヒ、ケヒヒヒ
あ~、良いものを見た。
長生きするもんだねぇ」
食事が終わり、あすか が皿を洗っていると 老婆が宿儺に声をかけた。
「宿儺、あすか を御婆の所に連れてきたのは あすか に反転術式を教えるためだけでは無いだろう?」
宿「…なんの事だ」
老婆が言おうとしている意味を理解した宿儺は知らないフリをした。
「御婆は まさか宿儺が誰かに心を寄せるとは思わなかった。
あすか は良い子だ。数日しか一緒に居ないが よく分かった」
宿儺は頬杖をつきながら、外を眺めた。
「お前は不器用だからねぇ…
幸せにしてやるんだよ」
宿「当たり前だ」
「お前の隣に居ることで あすか も呪霊や呪術師から狙われるかも知れぬしな」
宿「護るさ
だが、それだけでは意味が無いからな。
あすか 自身も強くなってもらう事で防げる事もある」
宿儺の言葉を聞きながら、隣で静かにお茶を飲む老婆の姿は本当の家族のようだ。