第6章 呪霊憑き
宿儺が、かわそうと思えば かわせるものを避けないところを見れば、それだけ老婆と宿儺の信頼関係が強い事を感じた。
宿「とりあえず、あすか が呪霊憑きの反転術式ができるようになるまで通うからな」
横になっていた少女が声をかけた。
「宿儺さま しばらく此処に来るの?」
宿「あぁ」
「御婆さま、私も遊びに来ても良い?」
「駄目だ、訓練の邪魔になる」
え~…、と残念そうに老婆に話をしている少女を見ると、少女が宿儺に懐いているのが分かった。
自分より宿儺との付き合いが長いと思われる少女を見ると、あすか の胸は何故だかチクリと傷んだ。
「……さぁさぁ、巫女さんは御婆と訓練をするよ」
老婆は スッと立ち上がり、あすか を部屋の外に促した。
あすか が立ち上がると、何故だか宿儺も立ち上がった。
「………宿儺、お前まさかついてくるのかい?」
呆れたように宿儺に聞く老婆に、宿儺は「そうだ」と当たり前のように答えた。
「全く何なんだい、取って喰ったりせんわ、一緒に来なくても良いだろう!」
宿「見てるだけだ、何もしないし、何も言わん」
「…………勝手にしろ」
そう言って、宿儺を含めた3人は部屋の外に出ていった。
先程のやり取りを見ていた少女は、宿儺が あすか をどのように思っているのか おおよそ見当がつき、小さくため息をついて呟いた。
「まさか宿儺さまに好きな人が出来ちゃうなんてなぁ……」