第6章 呪霊憑き
老婆と口論しながらも、少女の反転術式が終了した。
「巫女さん、今 宿儺がやった反転術式の予想はつくかい?」
宿儺の相手を止めた老婆が あすか に聞いた。
『この子の中の低級に呪力を流して暴発させたんだと思います』
「そうだ。良い眼を持っているね」
『宿儺さまから、呪霊の視方を教わりました』
ほぉ、と老婆は笑った。
「普通、反転術式は反発する呪力同士を練って1つにまとめるね。
呪霊憑きは反転術式と普通の呪力、両方を一気に流さないといけない。
まぁ、2つ同時に出来なければ 先に低級を潰してから反転術式を使っても大丈夫だが、時間がかかるでな」
老婆は続けた。
「反転術式に、別の呪力を上乗せするんだが、言うほど簡単ではないのだ。
宿儺も習得するまで少し手間取っておったなぁ」
ケヒヒヒ、と笑う老婆に、宿儺は そっぽを向いた。
『??
宿儺さまに呪術を教えたのは御婆さまなのですか??』
話の節々に、宿儺と老婆の "過去" を感じた あすか は思いきって聞いた。
「ケヒヒヒ
そぅだ、宿儺が小さい頃から よぉく知っているよ」
老婆は笑いながら言った。
あすか はチラリと宿儺を盗み見ると、宿儺と目が合った。
宿「今は俺の昔話など どうでも良い事だ」
『…………』
自分の事を話したがらない宿儺だ。
残念そうに肩を落とす あすか に、「俺の昔話など つまらんぞ」と宿儺は言った。