第6章 呪霊憑き
宿儺と出掛けた先は、小さな屋敷だった。
宿「御婆(おばば)、来たぞ」
馴れたように部屋へ入っていく宿儺に、あすか もついて上がった。
宿儺が開けた部屋には老婆と、布団に横たわって休んでいる少女が居た。
宿「おい、御婆。返事くらいしたら どうだ。
…耳でも遠くなったか」
ボソッ、と小言を言う宿儺に、御婆と呼ばれた老婆は「聞こえとるわ、小僧!」と言いながら、キッ と宿儺を睨んだ。
「ん? 後ろの巫女さんはなんだい?」
宿「連れだ。呪力の勉強をさせている」
「ほぉ、あんたがねぇ」
老婆は、ケヒヒヒ、と笑った。
⦅ 宿儺さまと似た笑い方… ⦆
なぜだろう?、と思う あすか を余所に、宿儺は老婆を睨んだ。
宿「何だ…。何か言いたいことでもあるのか?」
「い~や、なんも無いよ
丸くなったと思っただけさね」
ケヒヒヒ、と笑う老婆に、宿儺はフン、と鼻を鳴らし、横になっている少女の隣に腰を下ろした。
宿「またあてられたのか…」
「仕方ない事だからねぇ」
宿儺と老婆は少女を見つめながら話しはじめた。
宿「御婆、あすか に反転術式を教えてやってくれ
今は簡単な回復程度なら可能だ」
「それで今回連れてきたのかい?」
宿「俺は人に何か教えるのは苦手だ。
あすか 、此処に座れ」
促されたのは宿儺の隣。
宿儺と並ぶように腰を下ろすと、宿儺は「この娘に反転術式をしてみろ」と あすか に言った。