第5章 実戦
宿「…そのような事をしなくても、それくらいの傷 コヤツ自身で治せたのでは無いか?」
『私の術で傷つけちゃったから…
お詫びの印だよ』
ヘビの額を撫で、微笑む あすか に、腕を組んでヘビを見下ろす宿儺。
ヘビは無言のまま、宿儺に向かって舌をチロチロと出した。
その後、姫は目を覚ました。
ヘビに祟られ、低下した筋力はすぐには戻らないため、毎日少しずつ歩く練習をする事や、動物の命を大切にする事を あすか は姫に伝えた。
「分かったわ…
もう動物は殺さない…」
『約束ですよ、姫さま
必ず お守りください』
宿儺と あすか は報酬を受け取り、宿儺の屋敷へ戻った。
宿「そう言えば、あすか。
あの時、ヘビに何を言われたのだ?」
『…あの時?』
あすか は宿儺が言った "あの時" が何か分かっていたが、思い出すフリをした。
「お前の事だ」
ふ と聞こえた声に、宿儺と あすか は足元を見ると、姫に憑いていたヘビが居た。
宿「お前 呪霊のくせになぜ俺の屋敷に入れるんだ」
腕を組み、結界がしてあったろう、とヘビを見下ろす宿儺に
「落ちぶれても神だからな」
とヘビは答えた。
あすか は かかんで視線の高さを落とした。
『どうしたの?』
「お前と契約し、お前を護ろう」
ヘビは言った。
宿「ほぉ、良いではないか あすか」
ヘビの申し出に宿儺も賛成した。
『いいの?』
「あの女(姫)に憑いていた時はドロドロした感情しかなかったが、お前は不思議と心穏やかにしてくれる」