第4章 新天地
『…そっか……。でも、遊郭の時に紙の式神を放っていたけど、あれも結構体力使うんだよなぁ……』
できるかなぁ…、と不安がっている あすか の頭を ポンポン と優しく叩き、宿儺は言った。
宿「急がなくても良い。あすか は強くなれる」
宿儺の表情は柔らかく、あすか は なぜだか鼓動が速くなった気がした。
宿「体術はできるのか?」
『体術?? 何もした事はない…』
そう答える あすか に、宿儺は「やはりな」と呟いた。
宿「あすか の場合、接近戦になると弱い。
初めて逢った時も すぐに俺に後ろを取られていたしな」
『……確かに』
宿「術式を増やすことで、強くはなれるが、体術は何かあった時に必ず役立つ」
宿儺は腕を組んで あすか に そう伝えた。
『…体術は本当に何もした事がないの。町に居た時は ずっと "怪我をしないように" と言われていたから……』
宿「俺が教えてやるから、自分を守れるだけ強くなれ」
『うん!』
術式の訓練は、もともと呪力が強い あすか にとってはコツを掴むと簡単に出来た。
宿儺からは「基礎が大事だ」と言われ、呪力を精密に練る練習を何度も繰り返した。
体術に関しては、宿儺に向かって拳を付き出す事に抵抗があった。
そして何より全体的なパワー不足。
男と女なので、筋力に差が出るのは仕方がないのだが、体の線が細い あすか の拳では相手に大きなダメージを与える事が難しかった。
宿「…あすか は直接攻撃は不向きだな…」
『……ゴメンなさい』