第4章 新天地
あすか の頭を優しくポンポンとして、宿儺は ニッ と笑った。
宿「涙は止まったな」
宿儺の行動1つ1つに、頬を染めたり、鼓動が速くなるのを感じる あすか であった。
宿儺の屋敷につき、あすか は その広さに驚いた。
『…1人で住んでいるの?』
宿「他人に興味はないからな。
1人で居た方が楽だ」
先を歩き、玄関に向かう宿儺の後を追う あすか。
『1人で居る方が楽なのに、私が一緒に住んでいいの??』
遠慮がちに聞く あすか に、宿儺は「良い」と言った。
宿「好きな部屋を使うと良い」
『ありがとうございます』
こうして、宿儺と あすか の不思議な共同生活が始まった。
宿儺の屋敷は、男の1人暮らしとは思えないくらい綺麗に手が行き届いていた。
『誰かお手伝いの人でも来てるの?』
あすか が宿儺に そう聞けば、「誰も来ない」と言う宿儺。
⦅ こんなに広い屋敷を 全部1人でしていたなんて…… ⦆
感心していると、宿儺が食事を持ってきてくれた。
宿「荷物は片付いたか?
腹も減ったろ、口に合うか分からんが食え」
ホカホカと湯気を上げ、白米に味噌汁、何種類も おかずが小鉢に入っている。
『美味しそう』
自分の分の食事も持ってきた宿儺は「食べてなかったのか」と言った。
『ご飯は誰かと一緒に食べると もっと美味しくなるから待ってたの』
ニコ、と笑う あすか に、宿儺は照れたように そっぽを向いた。
『いただきます』
両手を合わせ、箸を持つ あすか。
その所作は綺麗だ。