第17章 生得領域
あすか の言葉に、「うん、どったの?」と聞く虎杖の頬に あすか は手を添えてた。
『おじいさんは【たくさんの人に囲まれて死ね】って言ったんでしょう?
おじいさんの呪い、少し弱いから それが果たせなかった。
だから、私が悠仁に お守りをあげるね』
「お守り??」
首を傾げる虎杖に、『少し屈(かが)んで?』と あすか は伝え、虎杖は あすか と視線を同じくらいに体を折った。
『両面宿儺の器、虎杖悠仁が死ぬ時、その最期を見届ける者達は今まで悠仁と関わった者であれ。ただし自死は その対象とはしない』
そう言って あすか は虎杖の額にキスをした。
「へ??!///」
宿「ぁ"あ"ッ!?」
頬を染める虎杖と、目の前の光景に青筋を立てる宿儺の様子を蒼は面白そうに眺めていた。
『悠仁、このお守りの事と、此処(生得領域)に私が来られる事は忘れて?
その代わりに、私は悠仁の事を全力で守り抜くわ。この命が尽きようとも』
「…それは縛り?」
悠仁の質問に、あすか は『そう』と頷いた。
「…俺に術式が無くて、弱いから … だから あすか さんに守ってもらわないと すぐ死ぬって事?」
表情を落として虎杖は聞いた。
『違うよ。悠仁は強くなってる。呪力のコントロールも上手くなってる』
「じゃあ何で?」
少しだけムキになる虎杖に、あすか は子どもをあやすように伝えた。
『悠仁が大切だから』
「…俺が死ぬと宿儺の器が無くなるから?」
膨れる虎杖に、あすか はクスクス笑った。