第17章 生得領域
真っ直ぐ自分を見て聞く あすか に、宿儺は「誰から聞いた?」と質問し返した。
『恵が教えてくれたの』
宿「…恵…? あぁ、伏黒恵か」
納得したように1人呟くと、宿儺は口角を上げた。
宿「小僧が死のうと何も問題ないと思ったからな。それに まさか小僧が本当に自害するとは思わなんだ」
ケヒ、と笑う宿儺の着物を あすか は きゅっと掴んだ。
『悠仁は芯の強い子だと思う…。もう悠仁を殺さないで?』
上目遣いで あすか は宿儺にお願いすると、宿儺は ぽんぽん と あすか の頭を撫でた。
宿「そぅだな。小僧と代わる時、面白いものも見られたしなぁ。そのお陰で小僧は生き返れたわけだから、小僧は伏黒恵に感謝すべきだな」
『面白いもの?』
宿儺の言葉に首を傾げる あすか 。
宿「伏黒恵の術。今のままでは宝の持ち腐れだが、あれは良い」
顎に手をあて、宿儺は ケヒッと笑った。
『悠仁の心臓は何かと引き替えに治したの?』
宿「そうだ。小僧と縛りを結んだ。小僧は忘れているだろうがな」
口角を上げ、笑う宿儺に、あすか は少し間を置いてから聞いた。
『…宿儺さま。私も悠仁と縛りを結んじゃ駄目、かな?』
宿「駄目では無いが何故だ?」
首を傾げる宿儺に、あすか は『悠仁には幸せになって欲しいの』と答えた。
『悠仁のおじぃちゃんは亡くなる時に【たくさんの人に囲まれて死ね】って遺言を残したんだって。こんな世界で たくさんの人に囲まれて死ぬのは正直難しいと思うの。