第16章 少年院
「その後、心臓取っちゃったでしょーがッ!」
何処と無くおどけた感じのツッコミをしながら、虎杖は続けた。
「死んでまで テメェと一緒なのは納得いかねぇけど、ココ地獄か? 丁度いいや」
虎杖は足元にあった頭蓋骨を掴むと、「泣かす!」と言って宿儺目掛けて投げつけた。
近くにあった骨から宿儺の居る場所へ駆け上がる虎杖。
流れるように宿儺目掛けて拳をつき出すが軽くかわされ続け、顔と見せかけて足元を狙う意表をついた攻撃を仕掛け、「とった!」と確信した虎杖だったが宿儺に攻撃が当たった感覚はなく不思議に思っていると、「お前はつまらんな」と ため息をつかれ、ゲシッと蹴り落とされた。
水面から バシャ と顔を上げ、「完ペキ入ったと思ったのに」と考えていると背中に重みが加わり、起こした体は水面に戻された。
⦅ クソっ!
あすか さんが言ってただけあって やっぱ強ェ…! ⦆
決して深い水位ではないが ボコボコッと水を飲みながら虎杖は背中に座る宿儺を睨んだ。
宿「此処は あの世ではない。俺の生得領域だ」
宿儺は虎杖の心臓を治す条件として
①宿儺が【契闊】と唱えたら1分間、体を明け渡すこと
②この約束を忘れること
この2つを提示した。
しかし、
「ダメだ。何が目的か知らねぇがキナ臭すぎる。今回の件で ようやく理解した。お前は邪悪だ。もう二度と体は貸さん!」
と反発した。
宿儺は ため息を尽きながら、1分間は誰も殺さない事と傷つけない事を付け足した。