第16章 少年院
五条の話を聞いた伊地知は「いや、しかし」と言い
「派遣が決まった時点では本当に特級に成るとは……」
五条を煙たがっている上層部が絡んでいた案件だ。五条の仮定での話を完全に否定する事はできず、伊地知は口を閉じた。
「犯人探しも面倒だ…。
上の連中、全員殺してしまおうか」
殺気に満ちた言葉に伊地知はゾッとした。
「珍しく感情的だな」
自動ドアが開き、家入が五条に言った。
「僕は いつだって生徒思いのナイスガイさ」
それに、と五条は続けた。
「それに、あすか を悲しませるような事はしたくない……」
「??」
ぽつり、と呟いた言葉に伊地知はオロオロしたまま首を傾げ、家入は黙ったまま虎杖の上にかかる白い布を剥ぎ取った。
「これが宿儺の器か…。
好きに解剖(バラ)していいよね?」
「役立てろよ」
「役立てるよ。誰に言ってんの?」
家入は五条の言葉に少しだけ苛立ちを含んだ声で返した。
☆ ☆ ☆
宿「許可なく見上げるな。不愉快だ」
高く積み上がった動物と思われる頭蓋骨の山頂に、宿儺は足組みをしたまま そこに立つ虎杖を見下ろした。
「なら降りて来い。見下してやっからよ」
米噛みに青筋を立て虎杖は宿儺を睨み返した。
宿「随分と殺気立っているな」
虎杖の神経を逆撫でるように宿儺は言った。
「当たり前だ、こちとらお前に殺されてんだぞ!」
宿「腕を治してやった恩を忘れるとは」
はぁ、と わざとらしいため息をついた宿儺。