第16章 少年院
ザァァァ………
冷たく打ち付ける雨空を見上げ、伏黒は自分の頬を伝うのが雨か涙か分からないまま、その場に立ち尽くした。
伏黒は釘崎を病院に送り届け、戻ってきた伊地知の車で高専に戻った。
⦅ あすか さんに教えねぇと……… ⦆
式神を一通り使った事、宿儺との対峙、そして何より虎杖の死による心労により伏黒は かなり疲労困憊(ひろうこんぱい)だった。
虎杖の件を あすか に伝えたいと思っていた伏黒だったが、自室に戻った安心感からか、泥のように眠ってしまった。
その頃、五条は伊地知とともに高専の解剖室に居た。
目隠しをしていても分かるくらい殺気立ってー。
「わざとでしょ?」
五条は伊地知に聞いた。
「特級相手。しかも生死不明の5人救出に1年派遣は あり得ない。
僕が無理を通して悠仁の死刑に実質無期限の猶予を与えた。
面白く思わない上が、僕の居ぬ間に特級を利用して体(てい)良く彼(悠仁)を始末ってとこだろ?
他の2人が死んでも僕に嫌がらせができて一石二鳥とか思ってんじゃない?」