第16章 少年院
宿「買い被りすぎだな。コイツは他の人間より多少頑丈で鈍いだけだ。
先刻もな、今際の際で脅えに脅え、ゴチャゴチャと御託を並べていたぞ。
断言する。奴に自死する度胸はない」
宿儺の話を聞きながら、伏黒は虎杖の腕が治っている事に気づいた。
⦅ 治癒。反転術式が使えるんだ。
宿儺は受肉している。心臓なしで生きられるとは言えダメージはあるはずだ。
虎杖が戻る前に心臓を治させる…。心臓を欠いた体では俺に勝てないと思わせるんだ。
……できるか?
特級の前で動けなかった俺に………。
…できるかじゃねぇ、やるんだよ…! ⦆
覚悟を決め、鵺を召還した伏黒は宿儺に向かって攻撃を仕掛けた。
宿「面白い、式神遣いのくせに術師本人が向かってくるか」
ポケットに手を入れたまま、宿儺は赤子の相手でもするかのように攻撃をかわした。
⦅ 全然当たらねぇ! ⦆
パチ、と伏黒の拳を受け止められたかと思うと、そのまま宿儺の裏拳がヒットした。
宿「もっと呪いを籠めろ」
「ッ!!」
素早く地面から大蛇(おろち)を召還した伏黒は、「畳み掛けろ!」と叫んだ。
大人しく大蛇の口に咥えられたままの宿儺目掛けて鵺が電流を纏った翼で攻撃する。
バチン、バチィン…、通常の人間であればかなりのダメージがあるはずの攻撃。
しかし宿儺は、ニヤ と笑うと大蛇を口内から破壊した。
ハッとした時には既に宿儺は伏黒の真後ろに居た。
深紅の紅い瞳をギラつかせながら宿儺は戦いを楽しむように言った。