第16章 少年院
倒れ込んだ呪霊の体を踏みつけ、宿儺は楽しそうに言った。
宿「ほら、頑張れ頑張れ」
ピシッ、と橋に亀裂が入る程の力。
宿儺はさらに グッと足に力を入れると橋は粉々になった。
落下していく呪霊は宿儺の足を掴み、投げ飛ばすが宿儺は落下するコンクリートの上に胡座(あぐら)をかき、呪霊は腕をもぎ取られていた。
「!?」
宿「呪霊といえど腕は惜しいか?」
宿儺はゲラゲラと笑った。
☆ ☆ ☆
その頃、肉体を譲った虎杖は死ぬかもしれなかった恐怖からか記憶が走馬灯のように駆け巡っていた。
【お前は強い。人を助けろ】
⦅ …爺ちゃん、俺 弱かったみたいだ……… ⦆
祖父の言葉に虎杖は唇を噛んだ。
「あすか さんは宿儺のどこが良いの?」
他愛もない日常。
五条から初めて紹介され、組み手など教えてくれるようになった あすか に釘崎が聞いていた。
『宿儺さまは優しいのよ』
微笑む あすか に どきり とした。
「ねぇねぇ、 あすか さんの事もっと教えて!」
虎杖は あすか に そう伝えると、『いいよ』と笑った。
『その代わり、悠仁の事も教えてね♪』
「おう♪」
釘崎や伏黒を交えながら楽しく話をしていた あの日。
自分の【死】がこんなに近くにあるなんて思わなかった。
自分の生い立ちや高専に来た理由を話すと
『"大勢の人に囲まれて死ね" なんて、お爺さん 本当に悠仁の事を大切に育ててくれたんだね』
優しく笑い、あすか は虎杖の頭を撫でた。