第16章 少年院
虎杖の耳に伏黒の玉犬の遠吠えが聴こえた。
「!! ⦅ 伏黒の合図! ⦆ 」
ワォオオーン………。
玉犬の遠吠えを聞きながら、虎杖の顔には刺青が浮かび上がった。
宿「……………。つくづく忌々しい小僧だ」
ボロボロだったはずの虎杖の体は宿儺の反転術式により回復していた。
先程とは違うオーラに呪霊は怯えた。
宿儺は呪霊に、「少し待て、今考えている」と伝え、顎に手をあてて虎杖たちを苦しめる最高の策を考えていた。
頭の回転が早い宿儺だ。
すぐに答えは出、「振り出しに戻してやる」と にやり と笑い、呪霊に声を掛けた。
宿「おい、餓鬼どもを殺しに行くぞ。付いて来い」
負傷していた右手の指を治し、クイッと呪霊を呼んだ。
が。
呪霊は呪力の塊を宿儺目掛けて放った。
宿「ッチ。馬鹿が」
舌打ちし、宿儺は左手を再生させながら呪霊の呪力を防いだ。
宿「いかん、こっちも治してしまった」
「え"ぇ"ーッ!!」
かわされる事のないと思っていた攻撃が かわされ、呪霊は驚愕した。
そして にこにこ笑いながら自分に近づいてくる宿儺に恐怖した。
宿「散歩は嫌いか?
まぁ、元来呪霊は生まれた場所に留(とど)まるものだしな。良い良い」
宿儺が肩にポンと手を置いたかと思うと、先程よりも低く苛立ちに満ちた声が響いた。
宿「ここで死ね」
「?!」
バコッ!と呪霊は殴られていた。