第16章 少年院
⦅ 俺があの時、指なんて拾わなければ。喰わなければ…。
あの時…、あの時…!
やめろ! 考えるな!!
………嫌だ。もう嫌だ!
逃げたい。逃げたい! 死にたくない!⦆
たらればに自問自答しながら、虎杖は祖父の【死】を思い出した。
「 !!
⦅ ここで死んで…。ここで死んだとして、それは【正しい死】か?!
…………っ! ⦆ 考えるなァア!!」
自分に言い聞かせるように虎杖は叫んだが、呪力のバリアに吹き飛ばされた。
⦅ ……………俺はこんなに弱かったのか……………! ⦆
吹き飛ばされながら虎杖は思った。
「…………自惚れてた……。俺は強いと思ってた………」
壁まで吹き飛ばされ、虎杖は俯いたまま、独り言のようにブツブツと呟いた。
「死に時を選べるくらいには強いと思ってた……。でも違った………、俺は弱い…ッ…
ぁ"あ"ーッ! 死にたくねぇッ! 嫌だっ、嫌だ!」
堰(せき)を切ったように虎杖は泣きじゃくった。
「あ"ぁ"あ"あ…………でも、死ぬんだ………。
【正しい死】か?じゃねぇよ! 甘えんなっ!
それでもこの死が正しかったと言えるように…!」
吹っ切れたように虎杖の心は落ち着き始めた。
⦅ ならば憎悪も恐怖も後悔も全て出しきれ。拳に乗せろっ! ⦆
ぶわっ、と右手に今まで感じた事のない感覚が宿り、そのまま呪霊目掛けて拳を繰り出した。
しかし、それは簡単に受け止められてしまった。
「ッ!!」
すると。
ワォオオーン……。