第16章 少年院
宿「お前の中の俺が終わろうと、切り分けた魂はまだ18もある」
宿儺の言葉を聞きながら虎杖は左手の止血を行った。
宿「だが、腹立だしい事に この肉体の支配者は俺ではない。
代わりたいなら代わるが良い。
だが、その時は呪霊より先に そこの餓鬼(伏黒)を殺す。
次にあの女(釘崎)。あれは活きが良い。楽しめそうだ」
宿儺は楽しそうに言った。
「んな事、俺がさせねぇよ」
自分の左頬の宿儺に向かって虎杖が言った。
宿「…だろうな。
だが、俺にばかり構っていると、それこそ仲間が死ぬぞ」
宿儺が言い終わると同時に呪霊は口から呪力の塊を吐き出し、虎杖と伏黒の間の床に穴を開けた。
⦅ 呪術じゃない! 呪力を飛ばしただけだ! ⦆
相手の呪霊に圧倒されながら、伏黒は相手の呪霊から距離を保つのが精一杯だった。
「伏黒! 釘崎を連れて ここ(領域)から逃げろ!
2人が ここから出るまで、俺がコイツ(呪霊)を食い止める!
出たら何でもいいから、合図を送ってくれ! そしたら俺は宿儺と代わる!」
虎杖の提案に伏黒は「できるわけねぇだろ! 特級相手に片腕で!」と言った。
「よく見ろって。楽しんでる。
完全に舐めてるんだよ、俺たちのこと。時間稼ぎくらいなんとかなる」
虎杖が言うように、呪霊は自分の力を楽しむかのように くねくね と体を動かしている。
「ダメだ!」
伏黒は虎杖も一緒に脱出する方法を考えていたが、虎杖は不器用に笑って言った。
「頼む、伏黒」
虎杖の覚悟を受け、伏黒は唇を噛み その場を後にした。
「鵺(ぬえ)!」
鵺を召還し、落下へのダメージを回避しながら伏黒は虎杖の無事を願いながら釘崎を探しに向かった。