第15章 新入生
蒼の言葉に宿儺はケラケラと笑った。
宿「まぁそう怒るな」
フン、とそっぽを向く蒼に、宿儺は続けた。
宿「あすか が元気そうで安心した。…お前が護ってくれていたのだろう?」
感謝する、と言う宿儺に蒼は驚いたように宿儺を見た。
「……あすか は、ずっと お前の事を考えていた。
俺に礼を言うより あすか を呼んでやれ」
宿「そうか…。
あすか は呪霊になった事を悔いてはおらんか?」
宿儺は少し寂しそうに聞いた。
「……あすか に直接聞け」
宿「………………」
黙り込む宿儺を見て、蒼は ため息をついた。
「あすか を呪霊にして悔いているのは お前だろう、宿儺。
あすか に否定させるのが怖いか」
ジッと宿儺を見て蒼は続けた。
「お前たちは夫婦(めおと)だろう」
それだけ言って、蒼は「そろそろ帰せ」と言った。
宿「………蒼。この体、憎い事に主導権は小僧にある。
あすか は危機感が無いようだが、人質のようなものだ。
俺が あすか を護ってやりたいが まだ叶わぬ…。
もう少し、あすか を頼む」
宿儺はそう言って蒼を領域から解放した。
それから、あすか は時折1年教室にやって来た。
宿儺は顔を出したり出さなかったりするが、あすか は伏黒に組手を教えた時のように、虎杖と釘崎とも組手をするようになった。
「あすか さん強いね、全然当たんねぇ」
あすか と組手をしていた虎杖が息を上げながら言った。
『宿儺さまは もっと強いよ。
私に体術を教えてくれたのは宿儺さまだからね』