第15章 新入生
そして、あすか は虎杖を見て続けた。
『悠仁くん、宿儺さまの器としてツライ思いをさせてゴメンね。
でも、ありがとう』
「?」
"ありがとう" の意味が分からないと言うように虎杖は首を傾げた。
「俺、なんも お礼言われるような事してねぇよ?」
『宿儺さまと話ができた、それだけで私は幸せ』
瞳を閉じて そう言う あすか に、虎杖や釘崎、伏黒は あすか がどれだけ宿儺を大切にしているのか感じた。
『これからも よろしくね、悠仁くん、野薔薇ちゃん』
優しく笑う あすか に、虎杖も釘崎も頬を染めた。
「あすか さん、俺の事も呼び捨てでいいよ!」
虎杖が あすか に伝える。
「"悠仁くん" なんて呼び慣れてないし、呼び捨ての方が親近感が湧くじゃん♪」
ニコ、と無邪気に笑ってそう言うと、釘崎も「私も野薔薇でいいわ」と言った。
『わかった♪
改めて よろしくね。
悠仁、野薔薇♪』
☆ ☆ ☆
その日の夜ー。
宿儺の生得領域に虎杖以外の侵入者が居た。
「悪趣味な領域な事だ」
頭蓋骨の山頂に足を組んで座る宿儺を見上げ、蒼は独り言のように呟いた。
宿「やはり呼べるか」
ケヒッ、と宿儺は笑った。
「俺を呼ぶより、あすか を呼んでやれば良いだろう」
宿「生得領域に誰かを招き入れるなど、生前考えた事もなかったからな。
もし領域に招き入れる事ができたとしても、対象者に何があるか分からんだろう?」
「ほぉ、それは俺なら どうなっても良いと言う事か?」