第15章 新入生
「お前が何を隠しているのかは知らん。
だが、今まで あすか はお前達に協力してやってきたのに、それが この様か」
「……………」
蒼は五条に言った。
あすか は黙ったまま五条の言葉を待った。
「……今は…外には出せない……
今、あすか を外に出た場合の予測が出来ないから…」
『外で何が起きてるの?
予測ができないなら悟が私の隣で監視してても良い。
だから、お願い外に出して』
「……考えておく」
それだけ言って五条は部屋を出て行ってしまった。
「良かったのか、あすか 」
少し不満げに蒼は聞いた。
『悟を信じよう…』
それから五条はしばらく1人で考え、別の日に夜蛾に自分が隣に居る時だけ あすか を地下室から出る事を許可して欲しいと話をした。
はじめ夜蛾は渋っていたが、あすか が居なければ五条が今こうして高専に居なかったかもしれない事や宿儺の指の収集に協力的である あすか の日頃の行いを考慮し、特別に許可した。
「だが悟、あすか は呪霊だ…しかも 特級。私情で動くのは身を滅ぼすかも知れんぞ」
夜蛾の言葉に五条は「分かってる」とだけ答えて部屋を出た。
しかし五条は すぐに あすか の居る地下室へ向かう事が出来なかった。
あすか の喜ぶ顔を見たい。
でも、それは自分に向けられる感情では無い事を五条は分かっていた。
自分は恋愛感情として あすか に好意を寄せていた。
だが あすか の自分に向ける好意は ただの"好きか嫌い" の感情である事を思い知らされた。