第15章 新入生
そう言い、家入は医務室へ戻って行った。
「…………」
家入の後ろ姿を見送り、五条は地下室へ向かった。
☆ ☆ ☆
ガチャ、と扉が開き、あすか は入ってきたのが五条だと気がつくと駆け寄った。
『ねぇ悟、私を此処から出して!
少しの時間で良いの! お願い!』
「………………」
あすか の必死な姿を見て、五条は黙っていた。
『ねぇ悟、お願いッ』
下を向き五条の服を ぎゅっ と握る あすか に、五条がやっと口を開いた。
「………何でだよ。
今まで、外に出たいなんて言わなかったじゃん……」
目隠しをしているため、五条が自分を見ているのかは分からなかったが、あすか は五条を見て言った。
『数日前に宿儺さまの気配がしたの! きっと近くに居るはずなの!
…宿儺さまに逢いたい…』
最後のひと言は とても小さな声で、今にも消えてしまいそうな程だった。
「…………駄目」
五条は それだけ言って、あすか の手を自分の服から離した。
「宿儺は封印されてる。
あすか がよく知ってるでしょ?」
『でも…あれは宿儺さまだった……』
すると今まで黙っていた蒼が口を開いた。
「おい五条。
今まで あすか に協力的だったのに その態度は何だ。
あすか に外に出られては まずい事でもあるのか?」
「ヘビのくせに黙ってなよ」
図星を見抜かれないように五条は振る舞ったが、蒼は じっと五条の目隠し越しの目を視た。
「………………」
黙る五条に、蒼は続けた。