第15章 新入生
宿儺に逢いたい。
ただ そのために何年も地下室に閉じ込められ、自由の無い生活は可哀想だと思っていた。
だが、宿儺が虎杖に呪肉した今、元々の宿儺の体では無いにしろ宿儺の存在は復活した事になる。
宿儺の復活はもっと先だと思っていた。
その間に あすか の宿儺への想いが色褪せ、自分に少しでも興味を寄せてくれれば、五条は そう思っていたのだった。
自分の気持ちを整理し、気持ちを落ち着かせてから五条は地下室へ向かった。
「やぁ、あすか ♪」
数日前の暗い感じではなく、いたって普段通りに あすか に声をかける。
あすか と蒼が五条を見る。
「遅かったな、五条」
「うるさいなぁ、僕って忙しいから なかなか時間無かったの」
蒼を軽くあしらい、五条は あすか の前のソファに腰を掛けた。
「あすか …。僕は これから今まで外で起きた全ての事を話すよ。
そして、それを聞いたうえで あすか の考えを聞かせて欲しい。答えによってはココから出す訳にはいかない」
『…わかった』
五条は虎杖が宿儺の指を飲み込み器になっている事、そして全ての宿儺の指を取り込んだ後、虎杖は処刑される事を伝えた。
「宿儺の指を全て取り込ませてから殺すなど、面白い事を考えるなぁ」
蒼はチロチロと舌を出して笑った。
『悟が処刑を先延ばしにしてくれて良かった』
あすか は五条を見て柔らかく笑った後、でも、と続けた。
『……どうしても殺すの?』
あすか の言葉に五条は黙った。