第14章 はじまり
そして少しずつ降りてくるそれに向かって、あーん、と口を開ける虎杖に伏黒は「……やめろ」と小さく呟いた。
⦅ 特級呪物だぞ!? 猛毒だ!!
確実に死ぬ…。だが万が一…
万が一… ⦆
ゴックン、と指を飲み込んだ虎杖は抵抗しなくなり、呪いの両手は虎杖を握り潰そうとした その時。
ザシュ…
呪いは何かによって腕や体は大量の血が吹き出した。
⦅ 最悪だ…。最悪の万が一が出た…
特級呪物が呪肉しやがった…! ⦆
呆然とする伏黒の前には、いつの間にか晴れ渡った月明かりが2人を照らした。
ケヒッ
不気味な笑い声とともに、虎杖であった その顔は刺青のような模様が現れた。
「呪霊の肉などつまらん。
人は! 女はどこだ!!」
そう言って 虎杖であったモノは着ていた服を破り捨て高笑いしながら町を見下ろした。
「いい時代になったのだな。
女も子供も蛆のように沸いている」
両手を広げ、まるで自分が この世の王だと言わんばかりに口角を上げ ニタァ と笑った。
「素晴らしい! 鏖殺だ」
しかし、ガシッ と自分で自分の首を絞めた。
「?!」
自分自身の行動に驚く虎杖だったモノと伏黒。
「人の体で何やってるんだよ、返せ」
「オマエなんで動ける?」
「? いや、俺の体だし?」
⦅ ……抑え込まれる… ⦆
乗っていた高台から安全な場所に戻され、虎杖に現れていた刺青は スーッ… と消えていった。
自分の体に戻った虎杖だったが、伏黒は緊張した表情で「動くな!」と叫んだ。
抵抗する意思が無い事を伝えるため両手を上げる虎杖だが、伏黒は続けた。