第14章 はじまり
『悟、どういう事?』
「僕に聞かないでよ、僕だって初耳だったんだから」
五条は両腕を組んで そう言った。
『津美紀ちゃんは いつ呪われたの?』
「…俺が中学に入って しばらくして…」
『それって最近なの?』
小学校が何年で中学が何年という概念が無い あすか は五条に聞いた。
「3年くらい経ってる」
五条の返事を聞いた あすか は黙って伏黒の前まで行くと、パンッと伏黒の頬を平手打ちした。
叩かれた伏黒は頬を抑えるでもなく、そのまま俯いた。
「………」
五条は驚いたが黙って2人の様子を見守った。
『何で3年も黙ってたの!?』
あすか はキッと伏黒を睨んだ。
伏黒は黙って あすか を見、言った。
「…関係ないでしょ」
その瞳(め)は冷たく暗闇のようだった。
『ッ!』
あすか は先程と同じように片手を高く上げたが、その手は脱力したように下がった。
『馬鹿』
あすか の声は小さく震えていた。
『何年も一緒に居たのに…
関係ないって何よ……』
あすか は肩を震わせ、瞳(め)に涙を溜めながら伏黒を見た。
『恵の馬鹿!
もっと大人を頼りなさい!
……ずっと、1人で抱え込んで……』
あすか は ぎゅっ と伏黒を抱き締めた。
『…よく頑張ったね…
もう大丈夫。一緒に津美紀ちゃんの呪いを解こう…』
「!」
抱き締められた伏黒は一瞬驚いた表情をし、あすか の言葉に目を見開いた。
「……ごめんなさい」
伏黒は小さく呟いた。
あすか は顔を上げ、伏黒の頬を撫でた。