第14章 はじまり
「百鬼夜行 首謀者、呪詛師 夏油は死亡。
京都、東京での被害状況について報告します」
伊地知が報告書を読み上げる。
「…報告は以上となります」
「うむ。皆ご苦労だった」
会議に出席している者たちへ ねぎらいの言葉をかけ、会議は終了となった。
それぞれが解散していく中、夜蛾は五条を呼び止めた。
『悟、…本当に夏油は………』
夜蛾は最後まで言葉を言わず五条を見た。
「ん? …あぁ……、傑は僕が殺したよ。心配なら あすか にも確認すればいい。
あすか と一緒に埋葬したから」
意外にも五条はいつも通り答えた。
「そうか…。お前は、大丈夫か…?」
「大丈夫。あすか が居てくれるからね」
それだけ言って、五条も部屋から出て行った。
☆ ☆ ☆
4月。高専にも1年生が入学した。
「やぁ、恵♪」
「…………」
片手を上げ、ニコニコと伏黒に声をかける五条とは反対に、伏黒は眉間に皺を寄せた。
「あすか も恵に会えるのを楽しみにしてるから行こうか♪」
五条の隣を歩き、伏黒は あすか の地下室へ来た。
「あすか 、恵つれて来たよ♪」
あすか は伏黒を見ると声をかけた。
『恵くん久しぶり。
津美紀ちゃんは元気?』
「………」
津美紀の名を聞き、伏黒は表情を曇らせた。
「どうしたの?」
「…津美紀は…、寝たきりです」
「『は?』」
間抜けな返事をする五条と あすか に、伏黒は「呪われたんです」と答えた。
「呪われた? 何で?」
「……俺も詳しくは分からないんです」