第13章 宣戦布告
蒼に言われ、乙骨と夏油の様子を見ていた あすか は夏油は誰も殺さないと信じ、静かに その場を離れた。
☆ ☆ ☆
普段、地下室を出る時は五条か夜蛾、家入に話をしておく必要があった。
しかし今回、呪術師不在による夏油の侵入。
地下室を無断で出た理由には十分だった。
式神を出し、手分けして宿儺の指を探したが なかなか見つからない。
『何処に隠しているのかな?』
首を傾げる あすか に、蒼も「これは難しいな」と ため息をついた。
正門付近では建物が破壊されているような大きな音が響いているなか、ゾッとするような大きな2つの巨大な呪力を感じた あすか と蒼は宿儺の指の捜索を中止し、正門へ戻った。
☆ ☆ ☆
あすか が正門へ着いた頃には夏油の姿は無く、乙骨は気絶していた。
夏油は残穢を消す余裕も無かったのか、敷地外に向かうように残穢が残っていた。
乙骨を安全な所へ避難させ、あすか は夏油の後を追った。
夏油の残穢の先に誰かの話し声が聞こえ、あすか は様子を伺いながら近づくと夏油と五条の声だった。
夏油は片腕を失っていたが、五条と話をしている様子から、一命をとりためたようで あすか は安堵し、2人に声をかけようとした。
しかし、その直後に夏油と思われる影がその場に崩れ落ちた。
あすか は急いで2人の元に向かった。
『傑っ!』
五条は下を向き、夏油の死体から顔を背けていた。
『まだ間に合うかも』