第13章 宣戦布告
『悟の事を考えた事はある?
あの時、悟は憔悴しきっていた…。
あのままにしておいたら、傑も悟もバラバラになってしまうと思ったの。…だから高専に来た』
「…私たちはもうバラバラですよ」
あすか の言葉に夏油は そう言った。
『違う。今も昔も2人は信頼し合ってるじゃない』
呪力が少し乱れたよ、と夏油に言えば、夏油は肩をくすめて笑った。
「あすか さんとは闘いたくない。そこを退いてくれますか?」
夏油と あすか が話をしていると乙骨も到着し絶句していた。
見るに耐えられない同級生の変わり果てた姿に、乙骨の呪力は体外に溢れ出ていた。
「来い、里香!!」
初めて目の当たりにする折本里香の完全顕現に、夏油は口角を持ち上げた。
⦅ すごい呪力ね…、この子に扱いきれるの…? ⦆
あすか に気づかず、乙骨は怒りのまま夏油に突っ込んでいった。
里香と呼ばれた呪霊は真希、狗巻、パンダを回収し乙骨のサポートをしていた。
乙骨は夏油から距離を取り、離れた場所に3人を置き反転術式を行っていた。
『蒼、見て。あの子 反転術式が使えるみたい』
乙骨と夏油の様子が見える高台に移動した あすか は蒼に言った。
蒼は あすか の体から姿を現すと「ほぅ」と関心した。
「とりあえず、あの者たちは大丈夫だろう。
あの小僧も後ろの呪霊が従順そうだから大丈夫だろう。
あすか 、宿儺の指を探すなら今だ。目的を見誤るなよ」