第13章 宣戦布告
「自分の呪力を1週間やそこらで物に宿すなんて普通無理。何年も何十年も使うから呪力が宿るんだ」
五条の説明を1年生は黙って聞いた。
「あすか の存在は高専関係者でも一部の人間しか知らない」
「じゃあ何で さっきの男は知ってるんだよ」
五条を見ながら真希が聞くと、五条は「会った事があるから」と答えた。
『ねぇ、話がちっとも読めないんだけど』
あすか がそう言うと、夜蛾が答えた。
「夏油が来た。宣戦布告だそうだ」
『どういう事?』
五条を見ると、五条は一呼吸置いてから答えた。
「…宣戦布告に来た時、この子達も巻き込まれた。
ヤツが何を考えているのかは分からないけど、この子達は あすか の事を知っておく必要があると思ったんだ」
『傑に会う事はできない?』
夜蛾に確認するが、「ダメだ」と断られた。
「あすか の存在は秘匿。
夏油の持っている呪霊は2級程度だろう。関係者で事足りる」
『…わかった』
残念そうに答える あすか 。
「…夏油はもう高専とは関係ないんだ。忘れろ」
夜蛾の低い声が響いた。
部屋は シン…、と静まり返り、夜蛾は1年生を引き連れて出ていった。
「……………」
部屋に残った五条は静かに俯いていた。
『傑は元気そうだった?』
あすか の問いに、五条は「うん」と答えた。
「アイツは何を考えてるんだろう…」
「知るか」
あすか の体から出てきた蒼が言った。
「だが、夏油の餓鬼を止めるのは お前の役割だろう」
「…そぅだな……」