第13章 宣戦布告
「すまない、君を不快にさせるつもりはなかった」
夏油は眉尻を下げて乙骨に謝ると、五条は乙骨と夏油の間に割って入った。
「じゃあ いったい、どういうつもりで高専(ここ)に来た?」
五条がそう聞くと夏油は不敵に笑い「宣戦布告さ」と答え、夜蛾たちの居る方へ体を向け声を張り上げた。
「お集まりの皆々様。
耳の穴かっぽじって よーく聞いていただこう。
来る12月24日、日没と同時に我々は百鬼夜行を行う。
場所は呪いの坩堝、東京 新宿。
呪いの聖地、京都。
各地に千の呪いを放つ。下す命令は もちろん鏖殺だ」
夏油の言葉に、その場に居た者たちは息をのんだ。
「地獄絵図を描きたくなければ死力を尽くして止めにこい。
思う存分、呪い合おうじゃないか」
口角を上げ そう言う夏油に、戦闘体勢に入る高専関係者。
しかし、夏油一派の緊張感の無い一言により、夏油は その場を去って行った。
夏油が去って行った方角を見上げている五条に、真希が「おい」と声をかけた。
「あいつ(夏油)は私の呪具を見て何か言っていたな。何なんだ、教えろ」
いつもと変わらぬ強気な発言。
同じように、パンダ、狗巻も真っ直ぐ五条を見ていた。
「あの…、先生。
僕たちにも あすか さんについて教えてくれませんか?」
乙骨が控え目にそう言った。
五条はチラリと夜蛾を見ると、夜蛾は腕組みをしたまま「1年生諸君!」と言った。
「ゆっくり説明している時間は無い!
…だが説明する必要はある。悟も付いてこい」
1年生と五条は夜蛾の後を黙って付いていった。