第13章 宣戦布告
「変わらないねぇ、高専(ここ)は」
そう言い、辺りを見渡した夏油は対象を見つけると にやり と笑い乙骨に肩を組んだ。
その速さに、一層警戒を強めた他の学生たち。
その中に夏油は懐かしい呪力を感じ、真希の持つ呪具を見つめた。
「僕の生徒にイカレた思想を吹き込まないでもらおうか」
声のする方を向けば懐かしい顔ぶれがあった。
「悟ー、久しいね」
ニコニコと答える夏油。
「まず その子たちから離れろ、傑」
そう言う五条を無視し、乙骨の肩から手を離さず聞いた。
「あの呪具、あすか さんの呪力が籠ってるけど何故かな?」
( あすか ? )
生徒たちは その場を動けず2人のやり取りを静かに見守った。
「…答える必要は無い」
「つれないなぁ悟ってば。
今年の1年は粒揃いと聞いたが、なるほど。君の受け持ちか」
そう言うと夏油は生徒たちを見た。
「特級被呪者、
突然変異呪骸、
呪言師の末裔、
そして………」
夏油は にやり と笑って続けた。
「禪院家のおちこぼれ」
夏油の言葉に反応する真希を制するように夏油は冷たい視線を向け、低い声で言い放った。
「言葉には気を付けろ。
君のような猿は私の世界には必要ないんだから」
すると肩を組まれていた乙骨が夏油の腕を振り払い、控え目に発言した。
「ごめんなさい、夏油さんが言っている事は まだよく分かりません。
でも、友達を侮辱する人の手伝いは僕にはできない!」
ぎゅっと鞘を握り、乙骨は夏油を睨み付けた。