第12章 歯車たち
「そのパンダとやらが、何故 此処(高専)に居るんだ」
『…動いてる。
蒼、見て…組み手してるよ……』
パンダをジーッと見ながら あすか は蒼に言った。
「アレは夜蛾学長が作った自我を持った自立型呪骸だよ」
『自立型?』
「そ♪ 本来呪骸は術師の呪力を必要とするけど、あのパンダは自分で呪力を作り自己補完しているの」
ちなみに理性もあるよ♪、と教えてくれた。
『…なんでも有りな世の中になったのねぇ』
関心しながら そう言う あすか に五条は続けた。
「あの子たちは今年の1年生なんだけど、新しくもう1人追加になる予定だよ」
『へぇ…』
そう言いながらグラウンドを見た あすか は不思議そうに五条に聞いた。
『あの女の子………呪力ある?』
あすか が見つめる先にはパンダと手合わせをしているポニーテールの少女と、前髪を立て口元が襟で隠れている制服を着た少年が居た。
「無いよ。あの子は真希って言うんだけど、禪院家の生まれなのに双子で生まれたせいか呪力を持ってなんだ。
それでも禪院家を見返したいって呪具使いになったらしいよ。かなりセンスも良いから、すぐ見返せると思う」
フィジカルギフテットのおかげかな?、と言う五条の話を あすか は『ふ~ん』と聞いた。
「真希は呪霊すら視えない。
今使ってる眼鏡も壊れたら予備は無いし、勘で戦うしかないかもね」
『…何が言いたいの?』
にこにこ している五条にそう聞けば、五条は えへへ と言いながら続けた。