第12章 歯車たち
「…………恵は…大丈夫ですよね?」
まっすぐ あすか を見つめ、津美紀は聞いた。
『………。
大丈夫ってどういう意味?』
少しだけ間を置き、あすか はいつも通り優しく聞いた。
「…死んじゃったり、しないですよね?」
大人ぶっていても津美紀もまだ小学生だ。
急に蒸発した自分たちの親と重ねているのか、不安そうにそう聞いた。
『私がついている限り大丈夫』
あすか がそう伝えると、津美紀の表情は ぱぁあっ と明るくなり「ありがとうございます!」と微笑んだ。
伏黒だけじゃない。
五条や家入。あすか は、自分と関わりを持った者は大切にし、自分の命がある限り護ろうと決めていたのだ。
「私、あすか さんに会えて良かった♪」
津美紀は そう言って掃除に戻った。
「…無理をするなよ」
津美紀が去ったのを確認してから、蒼が顔を出した。
「1人で抱え込むな。俺もついているのだぞ」
蒼の頭を撫でながら あすか は『ありがと』と笑った。
小さな伏黒を あすか が悠に重ねている事を知っていた蒼は それ以上言わず、伏黒の居るであろう林に視線を向けた。
「式神との連携はとれそうか?」
『うん♪
恵くんは優秀だね。少しヒントをあげるとすぐ理解する。
体力がついてくれば今より もっと強くなるよ♪』
にこにこ と伏黒について語る あすか を見て、蒼は やれやれ といった顔をした。
それから月日は流れ、伏黒と津美紀は中学生になっていた。