第12章 歯車たち
『私の式神は同じ物しか出せないけど、恵くんの式神は調伏することで十種類まで増やせる』
「調伏…?」
首を傾げる伏黒に、あすか は『そう』と言って続けた。
『儀式をする事で新しい式神を召還して、恵くんと玉犬で戦うの。恵くんが勝てば新しい式神として仲間になってくれるけど、負ければ怪我もするし、下手をしたら死ぬ事もある』
あすか は玉犬の頭を撫で、伏黒を見た。
『式神を増やすためにも恵くんの身体能力や玉犬たちの戦闘能力を上げる必要がある。だから体術も必要になるんだよ』
「分かりました」
伏黒は素直にそう答え、「そのためには何をすれば良いんですか?」と聞いた。
『恵くんと玉犬で私と手合わせしようか』
「3対1ですよ?」
あすか を心配する伏黒に、五条が口を挟んだ。
「大丈夫、大丈夫♪
あすか は僕と同じ特級だから♪」
驚いた表情で あすか を見る伏黒に、あすか は頷いた。
『まずは私に触れてごらん』
まだ低学年の伏黒。
玉犬が動けても術師に隙が生まれる。
それに玉犬もまだ戦闘に馴れていないため、決定打が繰り出せない。
あすか が求める "式神と共に戦う" という事ができていない。