第12章 歯車たち
『恵くん、久しぶり』
伏黒はペコと頭を小さく下げた。
「津美紀まで本当に良かったんですか?」
『大丈夫だよ。津美紀ちゃん1人じゃ寂しいでしょ?』
優しく笑う あすか に、伏黒は「ありがとうございます」と言った。
高専に泊まっている間、津美紀は呪霊が視えないため僧侶の手伝いをしてもらうことにした。
☆ ☆ ☆
『それじゃあ、早速練習をしていくけど、何か質問はある?』
伏黒にそう聞けば、伏黒は五条の方をチラリと見た。
「あの人(五条)は何かするんですか?」
「僕の事は気にしないでいいよ♪
ただの見学だから♪」
五条は少し離れて あすか と伏黒の様子を見ていた。
『悟は悪い子じゃないから、そこまで警戒しなくても大丈夫だよ』
苦笑しながら伏黒にそう伝える あすか 。
『早速だけど、玉犬はどのくらい出し続けていられる?』
「出し続けた事が無いので分からないです」
玉犬たちは伏黒に懐いているようで、伏黒に頭を擦り付け、伏黒に頭を撫でてもらう事を催促していた。
『じゃあ、今日は玉犬を出しっぱなしにして、いろいろ練習してみようか』
そう言う あすか に、伏黒は「はい」と返事をして玉犬 白と黒の頭を撫でた。
『まずは恵くんの術式について説明するね』
あすか は禪院家の書物から吸収した知識を伏黒に説明した。
『…って感じなんだけど、どぅかな? 分かった?』
「なんとなく」
『なんとなくでも十分♪』
あすか は笑って伏黒の頭を撫でた。
『式神には何種類かあって、恵くんの玉犬は "影" が媒体。
私の式神は自分の呪力が媒体』
あすか の説明を ふむふむ と頷いて聞いている伏黒。