第12章 歯車たち
「もう読んだの? 早いねぇ。
何か分かった事ある?」
あすか は自分の席の椅子に座り、五条に説明した。
『悟も知ってるかも知れないけど、過去に五条家と禪院家で御前試合が行われて、当時の五条家当主と禪院家当主が死亡してる』
「うん。でも詳しい事は聞かされてない。
なんで両家の当主が死んだの?
何か書かれてた??」
『禪院家の当主が強制調伏の儀をしたから』
「強制調伏?」
あすか の言葉を繰り返す五条。
『恵くんが相伝している十種影法術は調伏してからでないと扱えないのは知ってるよね?』
五条は静かに頷いた。
『調伏の儀は複数の術師と行っても良いの。ただし、その場合 倒したとしても式神として扱えないから正直やっても意味ないと思う』
「ふ~ん?」
『御前試合の時は、十種影法術歴代術師の誰も調伏できなかった最強の式神を呼び出し、五条家も巻き込む形で強制調伏の儀を発動した。
呼び出した禪院家当主は自滅覚悟て五条家当主も巻き込んだ感じ。
だから調伏の儀は、どの式神を呼ぶかが大切になってくる』
「なるほどね」
御前試合について知ることができた五条は口角を上げ、あすか の話を聞いた。
『恵くんには一般的な式神遣いじゃなくて、自分の身を護れるだけ強くなってもらいたいんでしょ?』
五条を見て そう言うと、五条は「もちろん」と笑った。
伏黒に教えなければならない事は たくさんあった。
そのため学校の無い週末に津美紀と高専に泊まりに来てもらう事にした。