第12章 歯車たち
そして、あすか が気になったのは五条家と禪院家の御前試合。
⦅ 悟の六眼と無下限は確かに凄い。
でも、禪院家の十種影法術……… ⦆
あすか は十種影法術について読み込んだ。
そこには まずはじめに術師には玉犬2体が与えられ、調伏で式神を増やしていくというもの。
力が強い式神ほど、調伏には術師の力量が試される。
御前試合では禪院家の当主が五条家を巻き込んだ強制調伏の儀を発動した事により八握剣異戒神将 魔虚羅 を呼び出し、両当主を死亡させた。
⦅ ……式神の能力も様々だけど、この式神…… ⦆
あすか はある式神の名をじっと見た。
「ソレを調伏できれば宿儺の復活も夢では無いかも知れぬな」
黙って書物を読んでいた蒼が口を開いた。
『そうだよね。
でも…、あの子にそれをさせていいのかな……』
「どこまでも甘いな、あすか は」
蒼は 呆れたような声で そう言って続けた。
「まずは あの小僧を一人前に育てなければ宿儺の復活うんぬんは無いのだ。
あの小僧に その式神を調伏させるかは別として、まずは小僧を育ててやれ」
『そうだね』
あすか は そう言って、書物に視線を戻した。
『悟、恵くんに会いに行きたいんだけど』
五条の机にドサッと大量の書物を置き、あすか はそう言った。