第12章 歯車たち
初めて読む術式に関する書物。
この本の中には御三家と呼ばれる家系の事や、禪院家の血筋について記載されたものが多かった。
「何だこの書物は」
一緒に書物を読んでいた蒼が呆れた声を出した。
「血筋の事ばかりでは無いか。
これだから人間は阿呆だと言うのだ」
『全くね…。血筋だから何だって言うのかしら。酷い縛りだわ』
ふぅ、と ため息をついて あすか は両手を天井へ伸ばし、背中もグッと伸ばした。
『御三家って随分自信家が多いようね』
まだまだ減らない書物の山に目をやり、あすか は『そう言えば…』と言った。
『宿儺さまは確か、"かも家" と言う所に養子に出されたって言っていた気がする……』
先程まで読んでいた書物のページをパラパラとさかのぼる。
「かも…。…………ソレでは無いか?」
蒼の尻尾が、書物のある一行を指した。
【御三家。禪院家、五条家、加茂家。
五条家、六眼無ければ恐れるに足りん。
加茂家、陰陽師故 呪術の理(ことわり)を知る者。加茂家信用するべからず。加茂は何かある危険な一族】
『…………』
"加茂は何かある危険な一族"
その言葉が あすか から離れない。
『宿儺さまの指を切り落としたのも、この加茂家の人かな?』
少しだけ興味が沸いた あすか は書物を読み込んだ。
御三家について書かれている部分は少なく、他は禪院家の血筋や術式について書かれていた。