第12章 歯車たち
高専に戻ると、あすか は五条に聞いた。
『私、自分の術式以外なんて教えられる自信ないよ?』
「ダ~イジョウ♪
禪院家の書物を読めば術式について書かれてるから♪
書物は明日持ってくるから、待ってて」
そして、続けた。
「あすか は体術もできるから恵に教えてあげて欲しいんだ。
本人は知らないけど、僕は あの子の父親を殺しているから…」
天内の時の事を言っているのだろうと感じた あすか は、それ以上何も言わなかった。
この頃から、五条の一人称は「俺」ではなく「僕」になっていた。
翌日。
五条は大量の書物を持ってきた。
『…………これを全部読むの…?』
げんなりしながら あすか は書物の山に目をやった。
「そ♪ 禪院家の術式について書いてあるけど、どこにどんな術式が書いてあるかは分からないからね♪」
そう言って五条は任務に出掛けた。
あすか は はぁ、と ため息をつきながらペラペラと書物をめくった。
特に気を引く内容は無かったが、伏黒のために書物を読み始める。