第12章 歯車たち
それから あすか は五条や家入と共に座学を学び、体術にも参加した。
体術は宿儺から教わっていたため、あすか が『苦手』と言うより遥かに動けていた。
「ねぇ夜蛾先生。あすか さん、体術苦手って言ってたんだけど、アレのどこが苦手なんだと思う??」
五条との組み手を見学しながら家入は夜蛾に尋ねた。
五条は無限が使えるが、それでは体も鈍るため体術の授業中は無限を解除させていた。
身長差のある五条が優位と思われたが、五条の上肢をうまくかわし、あすか の足技が五条を狙う。
「接近戦でもイケそう…」
「あぁ。やはり特級だけあるな」
夜蛾は腕組みをしながら そう言った。
☆ ☆ ☆
高専での生活に慣れた頃、五条は あすか に「一緒に来て欲しい」と言って高専の敷地外へ あすか を連れ出した。
『何処へ行くの?』
五条の隣を歩きながら、あすか がそう聞くと、「将来の後輩♪」とだけ教えてくれた。
着いた先は古いアパート。
五条は小さな男の子を呼び止めると、男の子は五条を見て眉間に皺を寄せた。
「何の用ですか、五条さん」
ぶっきらぼうにそう言う少年をよそに、五条はたいして気にしていないようだ。