第11章 流れ
五条に言われた通り、蒼は あすか の腕に絡み、あすか は五条の肩に触れた。
「行くよ」
五条が そう言ったかと思えば、あっという間に高専の門の外にいた。
『……此処が高専…』
大きな門を見上げ、あすか は独り言のように言った。
「来たか、悟」
敷地の中で腕を組んで仁王立ちしている謎の男性が、太い声で五条に声をかけた。
「あすか 、紹介するね。
俺の担任で次期学長の夜蛾正道センセー。
その隣に居るのは同級生の家入硝子。」
家入と呼ばれた少女は夜蛾と言われた男性の後ろに隠れるようにして五条に手を振った。
そして、五条は高専の敷地へ入ってから、あすか の方へ向いた。
「ようこそ高専へ。
依り代は霊安室に保管してあるから行こう」
そう言う五条に、あすか は夜蛾をチラリと見た。
「大丈夫だよ、あすか 。
ちゃんと夜蛾先生や、上の老人達にも話は通ってる。あすか や そのヘビには危害は加えないよ」
歩き出さない あすか の手を引き、五条に連れられるかっこうで敷地に入った あすか と蒼。
「依り代に入るまで同行する」
夜蛾は太い声でそう言い、五条と あすか の後ろを歩いた。
家入も一緒についてきたが、夜蛾のような緊張感は無く、どちらかと言うと好奇心から同行しているような感じだ。
☆ ☆ ☆
霊安室に着き、あすか は白い大きな布を被った遺体へ近づいた。
『このヒトで良いの?』
「そうだよ。顔はわりと綺麗な状態なんだけど、顔から下は交通事故で傷だらけなんだ」