第11章 流れ
パッと顔を上げ、あすか を見る五条。
『悟が堕ちないように見守ることと、宿儺さまの指を回収するために高専について行く』
「良いのか あすか 」
心配そうに蒼は続けた。
「いくら俺たちに敵意が無いと言っても、高専は呪いを祓う場所なのだろう?
そのような所に のこのこ ついて行って何もされない保証は無いのだ。
あすか なら返り討ちに出来るだろうが、返り討ちにする気も無いのだろう」
呪術師が土地神の蒼に危害を加えることはまず考えられない。
だが、呪霊となってしまった あすか は別だ。どんなに戦う意思が無くても、呪術師の祓うべき対象には変わり無いのだ。
『蒼や私に危害を加える事は無いと信じて悟について行くからね』
あすか は五条を見つめ、そう言った。
『信用して良いんだよね?』
「あぁ。あすか と そのヘビに危害は加えない。俺が直接、上と交渉する」
真っ直ぐな眼差しに、あすか は『信じてるよ』と言った。
『悟には もう1つお願いしたい事があるの。遺体を1つ、用意して』
「遺体?」
『このままでは流石にまずいからね。
私の依り代(よりしろ)にさせてもらいたい』
「わかった、用意する」
そう言って五条は一度高専に戻り、あすか を迎えに来る事を約束した。
数日後、五条は いつも通りやって来た。
「あすか ~♪ 迎えに来たよ♪」
「上の奴等は納得したのか?」
蒼が五条に聞くと、五条は「もちろん」と答えた。
「じゃ、高専へ飛ぶから掴まって」