第11章 流れ
そのため、夏油に怪しまれる事もない。
2人とも任務で忙しくなってきたのか、あすか の所に来る頻度は減っていたが時間を見つけてはやって来ていた。
そんな関係が1年がほど続いたが、事件は起きた。
夏油に付けていたヘビから、ヘビからヘビの伝言ゲームのような形で夏油の情報が蒼の元にやって来た。
"村の非術師を皆殺し。該当者逃亡"
『…………』
あすか は何も言わず、ヘビの伝言を聞いた。
「夏油に付けた奴は自由にさせて良い。ご苦労だった」
蒼はヘビにそう伝え、あすか に聞いた。
「夏油を探すか?」
『…ううん。傑が そう簡単に死ぬとは思えないから大丈夫。
心配なのは悟かな…』
「五条にも高専経由で情報は入るだろうな」
それから数日。
五条と夏油、両方の心配をしながら過ごしていた あすか の元に五条がやって来た。
「… あすか ……、傑が呪詛師になった………」
いつに無く神妙な口調で あすか にそう話す五条。
『知ってるよ、ヘビから情報が入ったからね。悟は大丈夫?』
心配する あすか に、五条は言った。
「……ダイジョウブじゃない………。
あすか 、高専に来てよ…。
俺、このままじゃおかしくなりそう…。俺の側に居て……」
あすか を高専に連れ出すための嘘ではなく、五条の本心だろう。
五条の呪力はドロドロとしていた。
『…………』
考え込んでいる あすか の様子を蒼は黙って見守った。
『わかった。悟の側に居てあげる』
あすか はそう言った。
「ホント?」