第11章 流れ
それから、少年たちは本当に あすか たちのところへやって来た。
2人でやって来ては黒髪の少年が説得をする、と言う感じだったが、目的が違うと あすか と蒼に門前払いされる日々。
黒髪の少年は説得を諦めたのか、他愛もない話をするようになっていた。
もともと面倒見の良かった あすか は少年たちの話を きちんと聞いた。
そして、あすか たちに攻撃する意志が無い事を確信したのか、少年たちは少しずつ1人だけで来る事も増えた。
『今日は悟だけ?』
あすか は白髪の少年に そう聞いた。
「なんだよ、あすか も俺より傑の方が良いの?」
白髪の少年は五条悟。
少し ムッとした表情で あすか を見た。
『そんな事ないよ。
2人は仲が良いから珍しいなぁ、と思っただけ』
「気にするな。俺は2人とも気に食わん」
クスクスと笑いながら そう返す あすか に、五条に聞こえるようにハッキリ言う蒼。
蒼と五条の視線がバチバチしているが、あすか は気にすることなく話を続けた。
『傑と喧嘩でもしたの?』
「…………何で分かんだよ」
『私も眼がイイの。
微かだけど呪力が乱れてるよ』
五条の腹を指差し あすか が笑った。
「俺はさ、非術師を守るって言う傑の理想は綺麗事だと思ってるんだよねぇ」
黙って五条の話を聞く あすか 。
「なんで弱い奴を守んなきゃいけないの? 弱い奴を守りながら祓う(たたかう)のって大変だしめんどくさいじゃん。
"守られるのが当たり前" とか おかしくない?」