第11章 流れ
「目的が違っても、宿儺の指の回収は早い方が良い」
黒髪の少年の話を聞いた後、あすか は言った。
『私たちが持っている指は、私たちが保管する。
キミたちの指と一緒にまとめる事はさせない。
この条件がのめなければ協力はしない』
「う~ん…。
貴女たちは指の呪力を他者から隠す事はできるのですか?」
あすか の結界であれば宿儺の呪力を隠す事くらい容易な事だ。
しかし、あすか は何も答えなかった。
「私たちが居る高専であれば、うまく隠す事ができる。
指の呪力が溢れている状況では私たちも呪霊に狙われ、他の高専関係者にも危険がおよぶ。それは避けたい。」
黒髪の少年が言う事も もっともだ。
「一緒に まとめて管理をした方が良いと思うのですが、どうしてもダメですか?」
『駄目よ。
1つに まとめて私たちが集めた宿儺さまの指を自分たちの物にするかもしれない』
ジッと黒髪の少年を見る あすか 。
「…分かりました………。
今日は諦めます」
しょんぼりした後、黒髪の少年は あすか に向けて笑った。
「あなたが信用してくれるまで説得に来ます」
では、と会釈をして黒髪の少年は白髪の少年を連れて帰っていった。
「何だアイツら」
存在を無視されていた蒼は苛ついていた。
『…呪術師って言ってたね……。
呪術師も宿儺さまの指を狙ってるのね……。
面倒な事になってるのかも…』
あすか は懐の宿儺の指を ぎゅっと握りしめた。