第11章 流れ
呪力で炎をイメージし、手の平に練り上げる。
対象が近くにあった事もあり、宿儺のように弓の形にはせず、炎を呪符に向かって放つと呪符は青白く燃え、そこには宿儺の指が現れた。
『宿儺さま…』
愛おしそうに指を回収する あすか 。
「あすか 、呪符で抑え込まれていた宿儺の呪力が溢れてる。
呪霊に指の在りかを教えているようなものだ」
『そっか。呪霊が宿儺さまの指を狙ってるって言ってたっけ。
気を付けないとね』
宿儺の指を懐にしまい、あすか は他の指を探しに出掛けた。
懐にしまった宿儺の指に、あすか は懐かしさを感じ微笑んだ。
しかしそれ以降、宿儺の指はなかなか見つからなかった。
『呪霊たちは、"散らばった" って言ってたから地方にも探しに行かなきゃ駄目か…』
蒼とともに色々な地方を渡り歩いた あすか 。
最初の神社のように、直接 箱を展示している所はなかなか無く、蒼も宿儺の呪力を検知しようと試みるが そばに居る あすか の呪力が強すぎて探す事ができなかった。
数年が経ち、やっと集めた宿儺の指は4本。
『全然集まらないね。
宿儺さまの指を切り落とした あの男…、さすがに死んでるか……』
独り言のように空を見上げながら そう呟く あすか 。
「ちゃんと見つけ出せるさ。
お前たちは繋がっているのだから」
『御婆さまも言ってた。
早く逢いたいなぁ…、宿儺さま……』
背後に気配を感じた蒼は振り返った。
「……何者だ。姿を表せ」